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アイデアル・スタンプ・モンタージュ - 僕と君と明日のつづき
ほぼ、毎日更新の創作ブログ。コンテンツは更新履歴と短編小説の連載など。
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FICTION DIARY - 『僕と君と明日のつづき』(19)
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僕と君と明日のつづき
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当ブログは基本的にフィクションです。実在の人物、団体、事件など一切関係ありません。掲載された文章には校正が入っておりません。誤字脱字などのご指摘、その他、ご感想やリクエストなどありましたら、
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2008.09.08 Mon
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text by HOSOKAWA matasaburo | 文=細川又三良
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(2008/09/08(月) 12:08)
2008.08.04 Mon
FICTION DIARY - 『僕と君と明日のつづき』
理由なきムカツキ
text by HOSOKAWA matasaburo | 文=細川又三良
「でも、いいのかな、一緒に行って」
「なんで?」
「偶然、お兄ちゃんと会ったりしたら、どうする?」
「えっ、会わないよ。だって、人、メチャクチャ多いんだよ」
近隣の地域から何万もの人が集まるのはわかっているが、時々、神様は絶妙な意地悪をすることがある。
まさか、こんな所で、こんな時に、どうして――と言いたくなるほど、運命的なすれ違いは、確かにこの世界に存在しているのだ。
誰でも一度ぐらいはそういう経験をしたことがあるはずだ。
そんな現実を目の当たりにして、時々、小説みたいだね、と言う人がいる。
いつも鼻でせせら笑ってしまう。
もし、僕が読者なら奇跡的な出逢いを読んだ時点で、ご都合主義だと本を閉じて、その先を読むのを止めるかもしれない。
「わかんないよ、確率は低いかもしれないけど、同じ場所に行くんだから可能性はあるよ」
「そっか……」
「別の男と一緒にいたら、悲しむかもな」
「んっ」
「でも、そいつがツカサに気がないんなら、なんとも思わないだろうけどね」
「んっ」
一体、オレは何に嫉妬しているのだろうか。
たぶん、理由なきムカツキなのだ。
単純に、恋愛関係はないけれど、目の前にいる女の子が自分以外の男のことで心をいっぱいにしていることが気に入らない。
だったら、もっと彼女の心を苦しく、切なく、醜く、乱れさせたい。
体の中を流れるサディストの血がそうさせる。
指一本も触れずして、弄って、いじめて、泣かした上で、優しいナイトを気取って、頭を撫でて慰めてやるのだ。
と、まあ、同じマンションに住む女子高生じゃなかったらそうすることだろう。
あんまり困らせても可哀想なので、口先だけでもいいから希望を与えようとする。
「まあ、逆に、相手に振り向かせることができるかもしれないけどね」
「えっ!?」
「あそこを見せたってことは、その先もしてるんでしょ?」
ようやく恥ずかしそうに目を伏せてうなずく。
「エッチをするぐらいだから、きっとお兄ちゃんはツカサのこと、自分のモノだと思ってるはずだよ。本人は自覚してないだろうけどね」
パチンと指を鳴らして、ツカサの顔を上げさせる。
「まずはその気持ちを意識させることが最初の一歩だ」
「どゆこと?」
「だから、花火大会でばったりとツカサに会うだろ。隣には自分の知らないオッサンが立っている。彼はきっと考える。この人は誰だろう、と。でも、そこでは無駄な会話は要らない。一言『あっ、お兄ちゃん、こんなトコで偶然だね』とだけ言えばいい」
「うん」
「その時、彼の横にいる女は絶対に見ないこと。お互いの連れを紹介する前に、さっさと僕が『おい、なにしてるんだ、さっさと行くぞ』と声を掛けるから、ツカサはお兄ちゃんに『じゃあね』と短く言って立ち去るんだ」
きょとんと目を丸くして、僕の話に集中している。
「あとは、去り際に僕に向かって楽しそうに微笑みかけるだけでいい」
「……それで?」
「さあね、それからどうなるかはお兄ちゃんの心の中に任せるしかない。所有欲や独占欲が強い奴ほど、気になって、ゆっくり花火見物どころじゃなくなるよ」
「ほえー、すごいね」
古典的なやり方と言えば、そうだろう。
しかし、それが結局一番強いのだ。世の中の多くのヒット作が、神話のストーリーラインに酷似していることと同じように、人は結局、ベタが好きなのだ。
「実際にこの作戦で成功したことがある。間抜けはそいつは見事に引っ掛かって、彼女の元へと帰っていったとさ」
「ホントに! いい、やろうよ、うん」
得体の知れないエネルギーで充電満了されたのか、ツカサは拳を握り締めて、ガッツポーズをするように胸の前に挙げた。
とにかく、笑顔になってよかったと生温かい目でツカサを見つめる。
一つだけ、ツカサに告げてないことがあった。
その作戦にまんまと引っ掛かった人間がいるのは事実だが、そいつとは――目の前にいるこの僕だった。
花火大会ではなく、盆踊りの夜の違いはあるけれど。
FICTION DIARY - 『僕と君と明日のつづき』
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(2008/08/04(月) 00:00)
2008.08.03 Sun
FICTION DIARY - 『僕と君と明日のつづき』
女の子がめったに口にしない言葉
text by HOSOKAWA matasaburo | 文=細川又三良
「お兄ちゃんはね、好きな人と行くんだって」
視線を上げてツカサの横顔を見る。なぜか、口元に薄笑いを浮かべていた。
それは長い間、思い悩み続けて、何度も諦めて、でもまだ想いが残っているときに出る淋しげな表情だった。
「なるほどね」
人の多いところは好きじゃないけれど、ここまで聞いたら、行かないと言うわけにはいかないだろう。
「いいよ、行こうよ。花火大会」
「ほんと?」
「今週の土曜日ね。いい場所とか知ってる?」
うーん、と首を傾げる。どうやら、ネットなどで調べる必要がありそうだった。
僕が生まれた所は有名な花火大会があって、毎年、親戚や知り合いの家でみんなで集まり、料理を食べながら花火を見ていた。学生の頃、サークルの仲間や付き合ったばかりの彼女と花火見物したことも記憶に新しいが、夏の花火というと、どうしても子どもの頃を思い出してしまう。
そんなノスタルジックな話をしても、
「へえ、ふーん」
と気のない返事。
自分語りの昔話なんて面白いオチが待っているわけでもないので、それは仕方がないことだった。好きな男の話だったら、きっと、なんでも楽しいんだろうけど。
「お兄ちゃんのこと、考えてる?」
「あ、うん」
良くも悪くも素直な子だと思った。
「さっきね、又さんがパンツ脱いで見せてって言ったじゃん」
うわ、もう、その話はやめてくれと顔を背ける。
「あれね、お兄ちゃんにも同じこと言われたの」
どう、リアクションしていいのかわからなくなる。
衝撃的な過去の告白に、驚いたり、興味を示す前に、どうしても自分の言ったことと較べてしまう。
つまり、僕は十代の男子と何ら変わらないレベルにいるということになる。あの頃からまったく成長していないのか、単純に、男はそんなものなのだろうか。
「――いくつの頃?」
「中二の時に、高校生だったお兄ちゃんの部屋に行ったら、マンコ見せてって言われた」
いきなりの放送禁止用語に、飲み始めた麦茶を吹き出しそうになった。
「うわ、そういう言い方はちょっと……」
「へっ、マンコって違う?」
「いや、あってるけど、あんまハッキリ言わない方がよくない?」
「なんで? マンコじゃないの。みんなマンコって言ってるよ」
こういうことに古いとか新しいとかあるのかはわからない。
しかし、やはり、この言葉は女が自分から言うものではなくて、男に意地悪されて仕方なく口にする方がいいと思うのだが。
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(2008/08/03(日) 06:48)