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FICTION DIARY - 『僕と君と明日のつづき』(19)

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僕と君と明日のつづき
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 当ブログは基本的にフィクションです。実在の人物、団体、事件など一切関係ありません。掲載された文章には校正が入っておりません。誤字脱字などのご指摘、その他、ご感想やリクエストなどありましたら、メールにてお送り下さい。
2008.07.11 Fri
FICTION DIARY - 『僕と君と明日のつづき』
グーテンベルグの優位性
text by HOSOKAWA matasaburo | 文=細川又三良
 編集者の電話を切った後、ふと、小説の今後について考えてしまった。

 以前、出版系の会社から小説執筆のオファーを頂いたことがあった。話を聞いてみると、基本、携帯や電子ブックの掲載という話で、執筆料も印税もちゃんと出しますとのことだったが、断ってしまった。
 世の中に早く出たいものの、やはり、本にこだわりたかったのだ。
 いまだにその気持ちは変わらないが、世の中は常に変わっている。

 過去に広告代理店の企画屋で働いている時、ちょうど、音楽業界で異変が起こっていた。MP3など新しい音楽フォーマットの開発と、iPodなどの機器の発売によって、CDやレコードが要らない世の中が訪れてしまったのだ。

 その時、一緒に仕事をしていた音楽のプロデューサーに、これからはCDは無くなりますね、と言ったら、
「いや、それはない。人間に所有欲がある以上、パッケージを手元に持っていたいに違いない」
 と、その人は真顔で答えていた。
 その予想は外れるな、と思ったけれど言わないでおいた。彼と僕はちょうど十歳ぐらいの年齢差だった。

 彼の世代はそうだろう、しかし、僕から下の世代は、確実に物に対する所有欲が無くなっている。逆に大半の大人たちが無価値だと思っているデータに対する所有欲が出て来たように思う。
 昔、テレビゲームでアイテムをゲットして喜んだように、実際には触れることは出来ないデータなどが実際の価値を得るようになっている。
 ちょうど、それは現金と電子マネーの関係に似ている。
 数年前は誰も電子マネーを使おうなんて思ってもみなかったはずだ。それが、今はSuicaのように自然に使いこなして、そのうち現金の流通量を超えてしまうだろう。
 株券だって、もはや、紙で持つことは不可能な時代だ。

 そこで、小説の話に戻る。
 音楽と同じように、小説にもデジタルの波がやってきていて、数年前から、小説などが読める小型の電子ブックが発売されたことがあった。
 しかし、ミュージックプレイヤーに較べてあまり普及しなかった。今でも、ニンテンドーDSで発売されているが、たぶん、大して売れないだろう。
 そう、グーテンベルグが発明した活版印刷の技術は、デジタルに較べてもまだその優位性を保っているのだ。

 本の優位性をいくつか上げてみる。
1)電源が要らず、すぐ読める。
2)再生用の機器が不必要。
3)比較的安価で、手軽に携帯が可能。

 当たり前のようで他のメディアと較べると、その自由度がわかるだろう。
 CDやDVDのように再生機が要らないし、電気も必要としない、手軽に持ち運びができる。 
 ケータイもパソコンも電源がいるし、ケータイは長文を読むのに向いてないし、パソコンは寝転がって読めない。やはり、本が一番優れている媒体なのだ。
 これから出てくる電子ブックは、この本のアドバンテージを覆せない限り、普及することはないだろう。

 しかし、そんな本でも変化は訪れている。
 と、長くなってきたので、続きは明日にしよう。

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(2008/07/11(金) 04:55)

 

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