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ほぼ、毎日更新の創作ブログ。コンテンツは更新履歴と短編小説の連載など。

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FICTION DIARY - 『僕と君と明日のつづき』(19)

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僕と君と明日のつづき
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 当ブログは基本的にフィクションです。実在の人物、団体、事件など一切関係ありません。掲載された文章には校正が入っておりません。誤字脱字などのご指摘、その他、ご感想やリクエストなどありましたら、メールにてお送り下さい。
2008.07.04 Fri
FICTION DIARY - 『僕と君と明日のつづき』
キャンプじゃないんだから
text by HOSOKAWA matasaburo | 文=細川又三良
 結局、ツカサに押し切られる形で一緒にカレーを作ることになる。
「カレー大好き!」でこっちの反応を伺って、「作ってあげよっか?」で一度、僕に断らせて、「じゃあ、一緒に作ろっ」と妥協点を見出していく。
 上手いやり方だった。
 彼女がいてもいなくても、これから作って食べる手間は同じなので、積極的にイエスではないけど、ノーとも言えなかった。

 基本、市販のルーを使うのに、各家庭で少しずつ作り方が違うみたいで、それが結構、面白かったりする。
「でかっ」
 ツカサが声を出したのは、ジャガイモ班の僕が包丁を握っている時だった。
「そうか?」
「大きいよ、一口で食べられないじゃん」
 そう、僕のカレーはやたらと具がでかい。お店で食べるようなカレーやレトルトのようなドロドロなのは好きじゃない。家で食べるカレーはやっぱり具がゴロゴロしてないと、食べたあとの満足感が違うのだ。

「キャンプじゃないんだから」
 そう突っ込んで、ツカサは笑った。このフレーズが気に入ったらしく、料理している間、2回ほど繰り返した。
 ツカサんちのカレーは具が小さく、やたらと玉ねぎを細かく刻んで入れていた。高校生にしては調理の手際もよく、僕がしたことはジャガイモの皮を剥いて切るぐらいのことだけだった。
 それでも、ツカサは嬉しそうにはしゃいでいた。
「一緒にご飯作るのって楽しいね」
「カレーは簡単だから」
「わたし、男子と一緒にご飯作ったの、初めてかも」
 ダンシ――という発音に思わず笑ってしまいそうになる。三十過ぎの男でもダンシはダンシだよな。

 カレー作りは最後の段階を迎えていた。鍋の火を止めて、カレーのルーを溶かしていく。
「じゃ、秘伝のスパイスを使う?」
「えっ、ひでんって?」
 冷蔵庫を開けて、扉の内側を見せた。
 ガラムマサラ、ターメリック、ナツメグ、クミン、コリアンダーなどと、色とりどりのビンで調味料が並んでいる。自分で買い揃えたものもあるけれど、その多くがかつての恋人の置き土産だった。
 その人のことを書いてもいいけど、複雑になりそうだから、ここでは割愛しておく。

「って、全部、市販のものだけどさ」
 おもしろそー、と言いながら、ビンを取って、キャップを開け、鼻を近づけるツカサ。
「入れると、一味、違ってくるよ」
「まぢですか」
「うん、プロっぽくなる。まあ、バランスが難しいけどね」
 ビンを鷲づかみにして、ずらりとキッチンに並べる。
「味見しながら、入れてみなよ」

 炊飯器のアラームが鳴って、ご飯が炊ける。
 一度かき混ぜて、五分ほど蒸らしてから、シチュー皿に盛って、その上にとろけるチーズを載せて、彼女に渡す。具だくさんのカレーをたっぷりとかけて、ようやく完成。
 飲み物は二人ともカルピスで、さっそく、スプーンを手に取った。


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(2008/07/04(金) 13:45)

 

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