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アイデアル・スタンプ・モンタージュ - 僕と君と明日のつづき
ほぼ、毎日更新の創作ブログ。コンテンツは更新履歴と短編小説の連載など。

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FICTION DIARY - 『僕と君と明日のつづき』(19)

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僕と君と明日のつづき
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 当ブログは基本的にフィクションです。実在の人物、団体、事件など一切関係ありません。掲載された文章には校正が入っておりません。誤字脱字などのご指摘、その他、ご感想やリクエストなどありましたら、メールにてお送り下さい。
2008.07.02 Wed
FICTION DIARY - 『僕と君と明日のつづき』
悪い奴らとサスペンス
text by HOSOKAWA matasaburo | 文=細川又三良
 僕が来たことに気づいて、慌てて立ち上がりこっちを向く。
 彼女がチカじゃないことに、落胆するような安心するような複雑な気分でいると、そんな胸の内を吹き飛ばすかのように急展開が訪れた。
「ね、お願い、かくまって欲しいの」
 携帯電話を片手に持ち、白い半袖のシャツにだらしなく緩められたリボン、彼女は昨晩と今朝出くわせた、例の女子高生だった。

「な、なんだ、悪いヤツらから追われているのか?」
 目の前の唐突なシチュエーションが面白くて、ついつい、そんな言葉が口から出てしまう。
「ぁ、うぅ〜ん、悪い子じゃないんだけど……」
 真面目に考えている素振りに、からかっているようには思えなかった。
「ねねね、五分でいいから、ダメ?」
 そうは言っても、いきなり見ず知らずの未成年の女子を家に入れるのはなあ、と思ってると、彼女は僕の右手に握られていたキーホルダーを奪い取って、
「開けてあげる」
 といって、鍵穴にさして素早く右に回した。

「カルピス飲んでいい?」
 コーヒーを勧めたが、カフェインは苦手だということで、棚からあざとくカルピスの紙パックを見つける。
「自分で作りな、お好みの濃さで」
「あ、うん」
 彼女の好みは薄めらしい。五分の一には少し足りないぐらいに白い原液をトポトポと注いで、蛇口をひねって水を入れる。そんなに入れたら氷が入らなくなるのに、と思うのだが、もちろん人の好みには口を挟まない。
 ずっと前に、誰かからカルピスの濃度はその人の幼児性を計るリトマス試験紙だと聞いたことがあった。単純に濃いめだと幼く、薄めだと大人だと言っていた。
 余談だが、僕は昔から濃いめが好きだった。
 勝手知ったる他人の家、じゃないけど、間取りがほぼ同じのマンション。慣れた手つきで蛇口を閉める仕草に、ずっと前から彼女と知り合いのような錯覚に陥った。

 彼女の名前はツカサだった。
 同じマンションの三○二号室に母親と住んでいるとのこと。
 話しながら、じっと彼女の顔を観察する。当たり前のことだが、よく見ればチカとは似ても似付かない顔で、身長もそんなに低くなかった。
 かくまって欲しい理由については、友達の紹介で知り合った男子に告白されて、家の前で待ち伏せされてたらしい。今までに何度か同じようなことがあって、昨日の夜も、そのことで友達と話していたということだった。
「さっさと断っちゃえばいいのに」
 誰もがそう思うことだろう、しかし、思春期の少女の世界には友達付き合いとかいろいろあるらしく――きっぱりとは断れないということだった。

 ツカサの話を聞きながら、買ってきた食材を冷蔵庫に収めていく。
 ニンジン、豚バラ肉、タマネギと入れたところで、ツカサが自分の話をやめて、
「今日はカレー?」
 と聞いてきた。
「――あー、うん、そうだけど」
 二つの瞳がキラーンと輝く。
「カレー大好き!」
 そんなの日本国民の大多数がカレー好きだって、と言おうとしたが、彼女が言いたいこととはズレてるよなと思って押し黙る。

 さて、どうしたものか、と丸々と太ったタマネギを見ながら考える。


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(2008/07/02(水) 15:11)

 

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