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アイデアル・スタンプ・モンタージュ - 僕と君と明日のつづき
ほぼ、毎日更新の創作ブログ。コンテンツは更新履歴と短編小説の連載など。
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FICTION DIARY - 『僕と君と明日のつづき』(19)
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2008.09.08 Mon
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text by HOSOKAWA matasaburo | 文=細川又三良
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(2008/09/08(月) 12:10)
2008.06.30 Mon
FICTION DIARY - 『僕と君と明日のつづき』
チカは二度と戻ってくることはないのに
text by HOSOKAWA matasaburo | 文=細川又三良
打合せは用意していた資料が要らないほどに、プリミティブな段階で終わってしまった。
プリミティブ?
原始的って意味、つまり、具体的な仕事の話にならなかったってこと。
初めて名刺交換した代理店の営業さんは、そんな感じの人だった。
ユーザーベネフィット、アジェンダ、プロフィットなど英語やら、マーケティング用語やネット用語も駆使して、オリエンテーションしてくれるのだが、いまいち焦点がボケて何をしたいのかさせたいのはハッキリわからなかった。
オリエンは、そそ、説明のことね。
まあ、文脈の流れからニュアンスはわかるものの、やっぱり気持ち悪い。
こういう時、黙って聞くのが、大人ってものだけど、あまりに酷い場合はバカになった気分で、いちいち問い質すことをする。
「すみません、勉強不足で申し訳ないのですが……」
と前置きして、意味不明な言葉を聞くことにする。
この行為の効果はいくつかあって、まずは、言葉の意味や定義をハッキリさせることが出来ること。同じ言葉でも捉え方の違いで議論になったりするからね。
次に、その人が優秀な人か見極められる。もし、その用語を使わずに説明できなければ、本当に理解しているのか怪しいものだ。
そして、こんな質問ばかりしてこいつはアホだ、と思われるかもしれないが、次第に無視できない存在になって、顔と名前を覚えさせることが出来る。
大体、広告代理店なんて、自分たちではモノを創らずに、コミュニケーションがメシの種なんだから、スタッフ相手の打合せの場所でも、常に伝わる言葉を意識しなければならないと思うんだけどなあ。
相手が理解しているかどうか、顔を見ればわかりそうなものなのに――。
打合せが終わった後、書店に立ち寄っただけで、さっさと家に帰ることにする。
どこかで食事を済ませようとも思ったけど、どこも混んでいて、慌ただしくご飯をかき込むよりも、家でゆっくりカレーでも作って食べようと、最寄り駅にあるスーパーに立ち寄る。
いっぱいに膨らんだレジ袋を提げながら、ふんふんと鼻歌を奏でながら家路を急ぐ。
マンションに着いて通路を歩いていると、ドアの前に何かがうずくまっているのが見えた。
な、なんだ?
と思って、後ろからそっと近づくと、それが女性のスカートの一部分なのがわかった。
瞬間的に、チカかもしれない、と思った。
ここに来ることはあり得ないとわかりきっているはずなのに――そうだ、今朝、マンションのロビーで郵便物を手に持ちながら、駆けていく女子高生の背中をじっと見続けた理由が、今、はっきりとわかった。
それは彼女の振るまいがどこかチカに似ていたからだ。
FICTION DIARY - 『僕と君と明日のつづき』
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(2008/06/30(月) 09:38)