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アイデアル・スタンプ・モンタージュ - 僕と君と明日のつづき
ほぼ、毎日更新の創作ブログ。コンテンツは更新履歴と短編小説の連載など。

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FICTION DIARY - 『僕と君と明日のつづき』(19)

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僕と君と明日のつづき
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 当ブログは基本的にフィクションです。実在の人物、団体、事件など一切関係ありません。掲載された文章には校正が入っておりません。誤字脱字などのご指摘、その他、ご感想やリクエストなどありましたら、メールにてお送り下さい。
2008.06.27 Fri
FICTION DIARY - 『僕と君と明日のつづき』
ミッドナイト・ストーキング
text by HOSOKAWA matasaburo | 文=細川又三良
 深夜、生中継で放送されている海外サッカーでのハーフタイム。
 明日は燃えるゴミの日なのに気が付いて、部屋中のゴミを掻き集め、ちょっとフライングだけど、マンションのロビーの隣にあるゴミの集積所に持っていく。
 パンパンに膨らんだゴミ袋を両手に四つ抱えて廊下を歩いていくと、どこかから、怪しげな話し声が聞こえてきた。

 囁くような声だが、時々、苦しそうに息を詰まらせている。
 盛りの付いたネコ? と思ったが、それにしては、ニャアーと伸び上がるような声を最近、まったく聞いていなかった。
 一体、何の音なんだろう、と不思議に思いながらも、網で囲まれた集積所にゴミを置いて、レバーを回して戸締まりする。

 後半が始まる前にさっさと戻ろうとすると、その声はマンションのロビーの裏側から聞こえてくるのがわかった。
 そこには倉庫があって、配電盤が設置されて管理会社の掃除道具も置いてあった。少し前に、近くのマンションでぼや騒ぎがあったこともあって、もしや……と考えが頭を過ぎる。

 いきなりヌッと顔を出したら、一撃でやられるかもしれないと、静かに近づいて、
「誰だっ、そこにいるのは!」
 と声を出した。
 僕の希望としては、ニャガガーと叫んでネコが逃げていくシーンを想像していたが、そいつは、スッと壁から姿を現した。

 赤いだぶだぶのスウェット上下に、肩まで伸びた栗色の髪、手には携帯を持っていて、こっちをじろりと睨み付けていた。
「……ちょっと待って、いきなり変な人が来て……あ、なんすか?」
 その声を聞いて、そいつが女だと言うことがわかった。声の高さやしゃべり方で十代の若い女の子だということも。
 変な人と言われてムッとしたが、怒るわけにはいかず、
「いや、物音がしたから、何かいるのかなって思って」
 冷静な口調でわけを話した。
「わたし、このマンションの住人なんですけど」
 彼女は憤まんやるかたないといった調子で早口で言うと、僕に背を向けて、また携帯電話で話し続けた。
「そっか、いや、ごめんね」
 そう独り言のように呟いて、そそくさとロビーを通って部屋に戻った。

 その時、彼女の小さな顔が涙で濡れていることに、僕は気付かない振りをしていた。


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(2008/06/27(金) 17:37)

 

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